breathdiary

                       

   

眠い

携帯でメールを書いているうちに、いつの間にか握ったまま眠ったらしい。メールの着信音がして、はっと気がついた瞬間は、自分が何をしていたかわからなくて、まごついた。 だいじょうぶかい、あたし。  メールを送ろうとしていた相手は7歳年下の、弟。もういい年なんだから、誕生日だからって、とくに何でもないのだけど。 私にとって、いつまでもちっちゃな恋人のような存在。 残念ながら、一緒に育つことはできなかったという事情をかかえた、複雑な家族。 ずっと、長い間どれだけ母と兄と私の3人が会いたいと思って生きてきたかを知らないでしょというセリフを彼に告げたのは、一昨年、意を決して会いに行ってから、その後何度目かに会った、今年3月のこと。

昔私たちを捨てて、新しく出会った女性のもとへと赤ん坊の末っ子を承諾なしに連れて去った父だ。

弟が大学院をでて、就職もするという時に、ひと目会いたいという抑え難い私の思いで、行動に出た。 母の念がそうさせたと思う。思わず本当のことが口から飛び出してしまったこともだ・・。 しかし、お互いの仕事生活に追われていたのと、まだ期が熟していなかった事などで、それっきりにしてしまっていた。 弟はすぐに父たち夫婦からまるで、逃げたいためかのような、結婚をしてしまう。同じ大学の同じ学部の、就職も同じところ それだけで、相手のことを信用し、利用されて、失った数々のもの。仕事の成功と地位だけがせめての救いだった。

 うすうす、母親は実母ではないのではないかと、感じていたという。父は、うかつにも、書類に必要な戸籍をとらせに行かせたこともあって、その時に母親の名前が違っている事を知ってしまったこと、そのことで、父に問うたことで、猛烈に拒否されて、まだ幼い彼は泣いたらしことを知る。 きちんと父が話してあげないことが、ずるずると、弟と父の関係を悪化させている。そのことで胸を私が痛めて悩んだりした。それなのに、自分サイドの理屈だけの世界で生きる父は弟ひとりを溺愛している、いまだに。

母の実家に負わせた、商売の失敗のツケもどこ吹く風。 弟はそこまでは何も知らないのに、彼の怒りはまるで、実母の気持ちそのもの。 そんな怒りと嫌悪をもっていることは、一昨年にあった時初めて知ったことであった。とても意外で不思議で、なんだこの絆はと細胞がふるえたことだった。