breathdiary

                       

   

鶴が教えた

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写真は天井から床にわたるサイズの大きなタペストリーが入り口に。
山口酒造場の玄関横の土蔵を改装してショップになっている。

 

80歳半ばで亡くなった叔母はパッチワークに凝っていて、ドクターストップがかかるまで、止めなかったらしい。癌を患って、弱ってからのことだろう。地元の店にはないといういい生地を求めて都心まででかけては買い揃えた良い柄の使い残しをたくさん分けてくれて、死んでいった。もう、思えば6年前のこと。 

その前の年に福岡市美術館で世界パッチワーク展というのを見て芸術として花開いた迫力のある大作、こまやかな細工とアイデアの宝石箱の数々に触れていたく感動していた。 それもあって、そこで出品されていた山口怜子氏の山口酒造場で毎年秋に1ヶ月だけ開かれる展示会にはたまに出向いてきた。 北野という古い町の造り酒屋に嫁いだ山口さんは着古した沢山の着物を惜しんでそれをデザインしてパッチワークで蘇らせることを思いつき、配色や企画のアイデアは夢のような芸術にまで進歩させておられる。作品から布への愛情がオーラのように漂うからそれが感動を倍加する。 酒蔵のほのかないい香りと共に大作が展示される。 

不器用で根気のない私は、真似事をしてみてはすぐに飽きて忘れてる時期の繰り返し。 手芸店で生地を選ぶのも楽しみで、でも買っただけでもう満足して終わりなんてことが多かった。  最近また始めてみた。指先を使うのはやっぱり脳トレに抜群の効果を感じる。また、そうならざるを得ない年齢というか、日頃の怠けのツケを払う時間がきたというか・・。

道具と材料だけはしっかり揃ってる。ちょっとがんばるぞー。 きっかけがある。というのは、先月の湯布院でのこと。泊まったユースのリビングの同じテーブルで食事したおやじさん(バイクで旅してた人)が手のひらに乗るような小さな羽がつながった4羽の”つながり鶴”を見せて自分で考えついたんだと得意そうに話しては、私たち二人のおばさんに教えてくれた。それを思い出して練習して折ってみた。結構慣れるまでは苦労するけれど、無心に集中している自分の中に、とっても健全な空気が流れ出した。あー、この感覚に何か教えられた気がすると思った。いかに日頃、雑念にまみれてるのか・・。いけないなー。